それがこれ。
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きっかけはほんとうに些細な事であった。
彼は、いとも簡単に「双恋」のフィギュア全4種を揃えてしまった。
これではつまらない。
そこで、たまたま見つけた「はじめてのおるすばん」のガシャポンをやってみたのである。
人を唆して金を使わせるのは容易いもので、
なおかつ1個の価格が500円とありえないほど高いもので、
1500円を使うのにそう時間はかからなかった。
さて、一通り盛り上がると今度はその処理に困り出す。
そもそも欲しくて買ったものではないため、
「あげる」「いらん」の応酬が展開される。
ここで働いたのが
進んで名乗り出る者がいないと、立候補したくなるという私の短所。
いちどは拒否したものの、結局貰い受けることになってしまった。
それがこれ。
とりあえず開封して中身を並べてみよう。
上半身、足、足、台座、支え
では組み立て。ほいさ、ほいさ。
なんかちがーう！
寝違えてるんじゃないの？
アイスの部品無くしそうだし…
気を取り直して、もっと常識的な方向に足を付けよう。頭も戻そう。
できた！
どう見てもアイスを目に入れているようだがこれが限界。
つか、頭を付け替えようとしてたら緩くなった
あれ？ 台座いらないんじゃない？
それはおかしい。
部品として入ってるんだから絶対使うはずだ。
そこで、台座を使ってみた。
絶対違うな！
浮いてるし…(絶妙なバランスを保っています)
こんなに安定の悪い台座などあるもんか
ということは、台座を使わない状態で「完成」だったわけだ。
じゃあ、ディスプレイの上に飾まーす
縮尺は揃ってんの？
なんか嫌だな…
どうしても好きになれない…
微妙に気味悪いし…
ポイっ！
(これ私の部屋のゴミ箱です)
ごめんよ…
だって、君のこと好きになれそうにないし…
本当にごめん…
でもこうするしか無かったんだ…
さよなら…
さよなら…
さよなら…
これで良かったんだ…
ここでキッパリと別れないと、ふたりのためにならない。
これで良かったんだ…
でも…
(飛行機の騒音に掻き消される僕の想い)
でも…
(電車の騒音に掻き消される僕の想い)
やっぱり、別れられないよぉ！
さっきは酷い事してごめんよ。
こんな僕を許しておくれ…また僕に微笑みかけておくれ…
ぎゃああああああっ！！
無くなってる！
そりゃもう、何時間も経ってるからなあ…
ごめんよぉぉ…
僕は、僕は……取り返しのつかない事をしちゃったんだ…
なんてことをしちゃったんだ…
その時、太陽が僕に囁きかけた。
「なぜ追いかけないんだい？」
そこで、僕はふと我に返った。
「追いかけよう…追いかけなくちゃ…」
待ってておくれ…
無事でいておくれ…
ハァ、ハァ……
(ああ、これ例のエスカレーターです)
はぁ、はぁ……
はぁ、はぁ……
あったーーっ！！
出た！ まさにこれだ！
僕らの再会を電車も祝福してくれているようだった
さあ、一緒に帰ろう！
待ってろよ…今自由にしてあげるから…
お帰り…なぎさ、お帰り…
あんな酷い事をした僕を許しておくれ…
もう決して離したりしないから…
僕の目には涙がいっぱいでよく見えなかったけど、
なぎさは心から僕に微笑みかけてくれているようだった。
- 完 -
あとがき
この大掛かりなネタを作るために200円使っちった…
大体フィギュア好きじゃないのにヽ(`Д´)ノ
まあ、大掛かりといえば、本当に同じフィギュアを買うために
梅田にまで行って500円のガシャポンを回すというのも考えたがさすがに辛い…
おまけ
明鏡止水